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書籍紹介

ハックルベリー・フィンの冒けん

柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。
著者 マーク・トウェイン〔著〕 / 柴田元幸〔訳〕
刊行日 2017年12月20日
ISBN 978-4-327-49201-4
Cコード 0097
NDCコード 933
体裁 四六判 上製 558頁
定価 定価2,750円(本体2,500円+税10%)

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内容紹介
 「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょう・・・・したとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょう・・・・もあるんだけど。
 それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
  ――マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
 
●オリジナル・イラスト174点収録
●訳者 柴田元幸(2017年、第6回早稲田大学坪内逍遙大賞受賞)の作品解題付き
 
《本文見本はこちらから》

 
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 Mark Twain, Adventures of Huckleberry Finnの第16章には、「筏のエピソード」(the Raft Episode)といわれるものが存在します。このエピソードは1885年の初版から割愛されており、柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』にもこの部分は収録しませんでした。
 ですが、本書刊行にあわせて、柴田先生がこの不思議な物語を訳出されました。
 柴田訳「筏のエピソード」をオリジナル・イラストとあわせてここに掲載します(本書と同じ体裁にレイアウトしました)。
「筏のエピソード」を、本書『ハックルベリー・フィンの冒けん』とあわせてぜひお楽しみください。
 
>>「筏のエピソード」
>>「筏のエピソード」について 柴田元幸
 
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2018年1月24日(水)青山ブックセンター本店で『ハックルベリー・フィンの冒けん』の刊行を記念して、柴田元幸先生のトークショーが開催されました。http://www.aoyamabc.jp/event/37683/
《こちらがそのレポートです》(PDF が開きます)
15ページにおよぶ渾身のレポートです。ぜひご覧ください。
 
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<著者・訳者紹介>
著者:マーク・トウェイン(Mark Twain, 1835-1910)
アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州フロリダ生まれ、同州ハンニバルで育つ。本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。西部・南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってその後のアメリカ文学に大きな影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行ない、当時最大の著名人の一人となる。無学の少年ハックルベリー・フィン自身の言葉で語られる『ハックルベリー・フィンの冒けん』(イギリス版1884年、アメリカ版1885年)はなかでも傑作とされ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』で「今日のアメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。
 
訳者:柴田 元幸(しばた もとゆき)
翻訳家、東京大学文学部名誉教授。東京都生まれ。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。マーク・トウェインの翻訳に、『トム・ソーヤーの冒険』『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―』(新潮文庫)、最近の翻訳に、ジャック・ロンドン『犬物語』(スイッチ・パブリッシング)やレアード・ハント『ネバーホーム』(朝日新聞出版)、編訳書に、レアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌 Monkey Business 責任編集。2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。

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