1961年に創立され、今年で創立60年を迎える日本シェイクスピア協会の最新論文集です。ベテランから若手までの12名の寄稿者を迎え、シェイクスピアを中心とするエリザベス朝演劇や、シェイクスピアの日本での受容や翻案までを論じています。「還暦」を迎えた同協会は、シェイクスピアとの対話と往還を長年続けてきましたが、この新しい論集でも、丁寧なテクスト読解を堅持しながら、シェイクスピアとの「往還」の新しいかたちを提案しています。
[日本シェイクスピア協会]
日本シェイクスピア協会は、1929年に東京帝国大学教授市河三喜を会長、シェイクスピア全訳で知られる坪内逍遥を名誉会長として発足した第一次日本シェイクスピア協会を前身としています。日英友好をその大きな目的の一つとしていた第一次協会は、1930年代の政治情勢の緊迫によって活動にさまざまな支障が生じ、第二次世界大戦中は実質的な活動停止となりました。
現在の協会の活動は15年間の空白期間を経た1961年に始まりました。新協会は日本におけるシェイクスピア研究の促進を目的と定め、シェイクスピアとエリザベス朝演劇に関心をもつ全ての人々にその門戸を広げ、現在では、シェイクスピア時代の作品だけでなく、シェイクスピアからの翻訳、翻案などの研究も進めています。