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書籍紹介

あたらしい第二言語習得論 ――英語指導の思い込みを変える――Instructed SLA: A New Approach

今までの指導を振り返り、授業改善を後押しするISLA入門講義
著者 鈴木祐一〔著〕
刊行日 2024年10月23日刊行予定
ISBN 978-4-327-41111-4
Cコード 3082
NDCコード 807
体裁 A5判 並製 258頁
定価 定価2,420円(本体2,200円+税10%)

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内容紹介
文法をしっかり教えたのに、生徒が英語を使えないのはなぜでしょうか?
英作文の間違いを、ぜんぶ丁寧に添削していませんか?
生徒のやる気を引き出す「正解」を求めて悩んでいませんか?
そんな教師の悩みと疑問にISLA(指導場面における第二言語習得)研究が答えます!
多岐にわたるテーマについて、ISLA研究の基礎知識から最新の研究成果までを丁寧に解説した入門書。教育実践に役立つ知見が得られるよう、日本の英語教育の現場に直結するISLA研究も積極的に取り上げました。教師も教職を目指す学生も必読の一冊!
 
<著者紹介>
鈴木 祐一(すずき・ゆういち)
早稲田大学国際学術院・国際教養学部准教授。東京学芸大学教育学研究科(英語教育)修士課程修了後、メリーランド大学カレッジパーク校でPh.D.(第二言語習得)取得。神奈川大学国際日本学部准教授を経て現職。Studies in Second Language Acquisitionなど国際学術誌の編集委員を務める。主著に、『英語学習の科学』(編著、研究社)、『高校英語授業における文法指導を考える――「文法」を「教える」とは?』(共著、アルク)、Practice and automatization in second language research: Perspectives from skill acquisition theory and cognitive psychology(編著、Routledge)がある。
目次
はじめに
本書の使い方
 
序章 英語を教えるときの思い込みを探る:「13の問い」で振り返る
 
第1部 言語知識とスキルの指導法
 
第1章 文法指導:学びのプロセスからどう教えるかを考える
1. 文法を身につけるとはどういうことか?
2. 文法を教えたはずなのに使えないのはなぜか?
3. 明示的指導に効果はあるか?
ISLA 研究を深掘り 明示的文法指導の効果は持続するか?
4. 文法指導はいつ行うべきか?
5. 文法指導は第二言語習得プロセスにどう働きかけるか
コラム インプットとアウトプットを繋ぐ文法指導とは?
 
第2章 語彙指導:優先順位を決めバランスを取る
1. 語彙を身につけるとはどういうことか?
2. 用法基盤モデルから見た定型表現の重要性
3. 語彙学習のバランスと組み合わせ方
コラム 1年間で学べる語彙数の目安: 単語帳は諸刃の剣?
4. 語彙指導の優先順位とは?
5. 意図的学習の効果を高める方法
ISLA 研究を深掘り 単語テストの形式を変えると音声語彙知識が身につきやすくなるか?
6. 偶発的学習の効果を高める方法
 
第3章 発音・語用論指導:国際共通語としての英語を身につける
1. 国際共通語としての英語の視点から、発音・語用論指導を考える
コラム ネイティブスピーカー信仰を捨て、英語の多様性を体験させよう
2. これから求められる発音指導の考え方とは?
3. 発音指導の優先順位とは?
ISLA 研究を深掘り プロソディ重視の発音指導は、音素に特化した指導よりも効果的か?
4. 形式重視の発音指導と意味重視の発音指導を組み合わせる
5. 語用論指導は後回しで構わないか?
コラム 異文化コミュニケーション能力を育むEタンデム学習
6. 語用論指導を効果的に行うためのポイント
 
第2部 学習者中心のアプローチにおける教師の役割
 
第4章 インタラクションと協同学習:認知・社会文化的視点から考える
1. インタラクションが第二言語習得の鍵を握る理由とは?
2. 他者と関わることの重要性: 社会文化的アプローチ
3. なぜペア活動・グループ活動が重要なのか?
コラム ピア・インタラクションでは、エラーの心配は無用?
4. 協力的な学習環境を作るために教師ができること
5. 教室でインタラクションを通じた言語習得を促進する方法
ISLA 研究を深掘り 文法指導がグループ活動の協力関係にどう影響するか?
 
第5章 訂正フィードバック:学習者を起点に支援しよう
1. 訂正フィードバックの役割とは?: 教師主導から学習者中心へ
2. 口頭訂正フィードバック: インプット供給型とアウトプット誘引型
3. 口頭訂正フィードバックの効果を高めるためにできること
コラム ピア・フィードバックの恩恵を受けるのは誰か?
4. ライティング指導におけるフィードバックの3つの利点
5. 筆記訂正フィードバックに効果はあるのか?
6. 筆記訂正フィードバックの効果を高めるためにできること
7. 訂正フィードバックを「絞り込んだ」先にあるライティング指導とは?
コラム フィードバック・シートの活用で効率化
ISLA 研究を深掘り 焦点化フィードバックを取り入れると、ライティング指導はどう変わるか?
 
第6章 認知・非認知能力の個人差:テクノロジーで学びを個別最適化しよう
1. 言語適性: 外国語学習における才能とは?
2. 言語適性の考えをどう指導に活かすか?
コラム 教師自身の学習スタイルも見つめ直そう
3. 非認知能力は外国語学習にどれくらい重要か?
4. テクノロジーを活用した英語指導における教師の役割
5. AI を活用したテクノロジーをどう活用するか?
コラム ChatGPT に英作文を添削させてみたら?
ISLA 研究を深掘り 文法知識を長期定着させるにはどれくらいの練習が必要か?
 
第7章 学習者心理の個人差:動機づけと感情の多様性を理解しよう
1. 動機づけ: 英語学習のやる気の正体とは?
コラム 今までの英語学習経験が理想自己と義務自己に与える影響
2. 複雑系理論から読み解く動機づけのダイナミクス
3. 教室における感情はなぜ重要か?
ISLA 研究を深掘り 学習ジャーナルが明かす、英語授業中に渦巻く感情とは?
コラム 英語教師のリジリエンスとウェルビーイング
4. エンゲージメントはなぜ注目されているか?
 
第3部 SLA 研究に基づく指導法とカリキュラム設計
 
第8章 言語形式重視の指導法:「練習」で学びながら使う
1. 外国語教授法・指導法の歴史
2. Presentation-Practice-Production(PPP)の基本形
3. PPP を支える「練習」の重要性
コラム 音読とシャドーイングの効果と実施上の注意点
4. PPP と練習を支える SLA 理論:「明示的学習」と「スキル習得理論」
5. 日本の高校における PPP の実践例: TANABU モデル
ISLA 研究を深掘り PPP 型授業にパフォーマンステストを導入することの効果は?
6. PPP の利点と欠点
 
第9章 意味重視の指導法:「タスク」で使いながら学ぶ
1. タスク・ベースの指導とフォーカス・オン・フォーム
コラム ポスト・メソッド時代に求められる英語教師の専門性
2. タスクとは何か
3. TBLT を支える SLA 理論:「気づき」と「偶発的・暗示的学習」
コラム TSLT は TBLT とどう違うか?
4. ライティングやインプット型タスクの導入
ISLA 研究を深掘り インプット型タスク指導と PPP のどちらが効果的か?
5. 教師の役割と授業展開: フォーカス・オン・フォームの実践
6. TBLT の利点と欠点
7. 意味重視と形式重視の指導のハイブリッド型のカリキュラム
 
第10章 学習開始年齢と指導法:制約下での最適なカリキュラムを考える
1. 早期英語教育の効果検証
2. 英語圏での開始時期と臨界期仮説
3. 高度な運用能力を身につけるために必要な学習時間とは?
コラム インプット量を増やす多読プログラム
4. 改革案1: 教科と英語を同時に教える CLIL
ISLA 研究を深掘り 英語教育と CLIL の導入時期はいつが最適か?
5. 改革案2:「点滴方式」から「短期集中型」カリキュラムへ
コラム 「633プロジェクト」: 日本における集中型カリキュラムの実験的な試み
 
終章 SLA 研究を通して「13の問い」を振り返る: あなたの英語指導・学習観は揺さぶられたか?
SLA 研究への誘い:理論と実践の対話についてもっと考えたい読者へ
 
おわりに
引用文献リスト
索引

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