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書籍紹介

アメリカ文学に触発された日本の小説

日本の小説の中に、こんなにアメリカ文学が! アメリカ文学研究の第一人者による超刺激的<日米文学比較>!
著者 渡辺利雄〔著〕
刊行日 2014年7月24日
ISBN 978-4-327-48164-3
Cコード 1093
NDCコード 902
体裁 四六判 並製 288頁
定価 定価2,200円(本体2,000円+税10%)

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内容紹介
<本書より>
「文学作品は、その書かれた国での評判がいま一つであっても、思わぬ国の思わぬ作家に予想を越えた大きな影響を及ぼし、それがこれまた途方もない傑作を生み出すきっかけとなることがあるのです。大岡の『野火』は、そうした影響の典型的な例といってよいのではないでしょうか」
「もし村上春樹の作品が国際的に認められているとしたら、そこに日本的な特徴、あるいはアメリカ文学の影響が確認できるからではなく、それが国籍を超えた人間の永遠の問題を扱っているからです。アメリカをはじめ、現代の海外の作家たちが取り組まざるをえない問題に村上も取り組んでいるというべきでしょう」
*『講義 アメリカ文学史』『補遺版』につづく野心作!
 
<著者紹介>
渡辺利雄 (わたなべとしお)
1935 年(昭和10 年)台湾新竹市生まれ。1954 年、新潟県両津高校卒業。1958 年、東京大学文学部英文科卒業。1961 年、同大学大学院修士課程修了。1962 年から64 年まで、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。東京大学文学部教授、日本女子大学文学部教授・文学部長などを歴任。東京大学名誉教授。専門はアメリカ文学(特に、マーク・トウェイン、ヘンリー・ジェイムズなどのリアリズム文学)。
著書に『フランクリンとアメリカ文学』『英語を学ぶ大学生と教える教師に――これでいいのか? 英語教育と文学研究』(いずれも研究社)、編著に『20 世紀英語文学辞典』『読み直すアメリカ文学』(いずれも研究社)など、訳書に『フランクリン自伝』(中公クラシックス)、マーク・トウェイン『自伝』(研究社)、『ハックルベリー・フィンの冒険』(集英社)、『不思議な少年』(講談社)、ジョン・ドス・パソス『U. S. A.』(岩波文庫、共訳)、ノーマン・マクリーン『マクリーンの川』(集英社文庫)、『マクリーンの森』(集英社)などがある。
2007 年12 月、研究・教育の集大成『講義 アメリカ文学史[全3 巻]――東京大学文学部英文科講義録』を刊行し、その2 年後の2009 年12 月には『講義 アメリカ文学史 補遺版』を、2011年2月に『講義 アメリカ文学史――入門編』(いずれも研究社)を出版した。
目次
1.極限状況における幻覚をとおして明らかにされる人間の究極的な存在
  ―― エドガー・アラン・ポー『アーサー・ゴードン・ピムの物語』と、大岡昇平『野火』
2.次つぎと立ち現われる永遠の少女アナベル・リー――不在によって証明されるわれわれの実在性
  ――エドガー・アラン・ポー「アナベル・リー」と、大江健三郎『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
3.無限に広がる真っ白な虚無の世界と落日に真っ赤に染まった西方浄土を思わせる世界
  ――ハーマン・メルヴィル『白鯨』 と、宇能鴻一郎『鯨神』
4.二つの衣裳哲学 ――「馬子にも衣裳」か、「襤褸を着てても心は錦」か
  ―― マーク・トウェイン『王子と乞食』と、大佛次郎『花丸小鳥丸』
5.批判した過去に批判される現代人たち
  ――マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のコネティカット・ヤンキー』と、半村良『戦国自衛隊』
6.二十一世紀のマーク・トウェインの「不思議な余所者」と「ゴーストバスター」たち
  ――マーク・トウェイン『不思議な少年』と、高橋源一郎『ゴーストバスターズ』
7.「月明かりの道」から「藪の中」へ迷い込む道筋
  ――アンブロース・ビアス「月明かりの道」と、芥川龍之介「藪の中」
8.上流社会を目指す貧しい青年の挫折、それは個人の悲劇か、それとも社会の悲劇なのか
  ――シオドア・ドライサー『アメリカの悲劇』と、石川達三『青春の蹉跌』
9.若者たちはみんなどこへ行ったのか、そして、彼らは何を学んだのか
  ――J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』と、庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』
10.「夢」と「記憶」のはざまで
  ――アメリカ文学と村上春樹

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