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書籍紹介

英語を学ぶ大学生と教える教師に ――これでいいのか?英語教育と文学研究

大学生よ、教師よ、これでいいのか?
著者 渡辺利雄〔著〕
刊行日 2001年6月25日
ISBN 978-4-327-42156-4
Cコード 1082
NDCコード 807
体裁 四六判 並製 284頁
定価 定価2,420円(本体2,200円+税)

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内容紹介
 大学生の英語力低下は、現在大きな社会問題としてマスコミを賑わしている。その原因ははたしてどこにあるのか?受験英語の弊害、実用英語の重視、そして英語教師の指導法など、大学英語教育の現場とその周辺を幅広く観察し、様々な問題点を抉り出しつつ、今後の可能性と方向性を探る。英語を学習するすべての大学生、それを教えるすべての教師に突き付ける、刺激的な提案!
 
<著者紹介>
渡辺利雄(わたなべ としお)
1935年、台湾新竹市生まれ。東京大学英文科、同大学院卒。東京大学文学部教授を経て、1996年4月より日本女子大学教授。主著『フランクリンとアメリカ文学』(研究社選書)。編著『読み直すアメリカ文学』。訳書にフランクリン『自伝』(中央公論社)、トゥエイン『自伝』(研究社出版)、『ハックルベリー・フィンの冒険』、ノーマン・マクリーン『マクリーンの川』『マクリーンの森』(集英社文庫)など。
目次
序・現在の英語教育と文学研究への提言
始めに言葉あり/最近の学生の英文和訳の実例/実用英語偏重で失われたもの/テキストを読む「楽しみ」/ブルーム教授の文学観/失われた「楽しみ」/現代批評の悪影響/英文科の学生よ、教師よ/アンダソン論の原文と試訳
 
I.英語を学ぶことの意味
1.現在の大学生の英語力
学生たちの言い分/彼らの自己評価/学力の低下は何が原因?/本を読まない大学生/マークシート方式の問題点/学生は犠牲者
 
2.一般的な英語力が基本
現在の学部生の英語力/まずは基礎をしっかり/学生たちが躓く4つの例/辞書を正しく引けない学生/「知っている」と錯覚して辞書を引かない/辞書で調べれば正解は得られる/単語の意味は一つではない/コンテクストから判断して、最適の訳を/学生たちが誤解してしまう英語の発想・構文/比喩表現/省略表現/厄介な「否定」と「比較」/ヘミングウェイの遺作の書評/講読の授業は重要かつ楽しい/教師にも責任がある
 
3.講読演習の現場から
すべてはテキストの精読に始まる/油断すると躓くキャザーの英文/英米文学の背景知識/多くの知識が必要/引用句辞典で確かめてみる/クリシェ/「捻り」の面白さ/詩からの引用/「精読」と「読書の楽しみ」
 
4.大学院レベルの講読演習
大学院での講読と翻訳書/本当に「読む」ということ/追剥の決まり文句/シェイクスピアの反響/大学教師の翻訳/初歩的な誤訳/辞書を調べないことで生まれる誤訳/行間を読む/求められる特定化/「エミリーに薔薇を」の謎
 
II.正確な読みと翻訳・研究論文
1.訓詁・注釈の伝統
注釈の復活を待望/『英語青年』の目玉企画/今こそ訓詁・注釈の伝統を/注釈が尊重されない現状/文学作品のよりよき理解のために
 
2.翻訳の功罪
変わらない英文科/翻訳の質の低下/手軽に読める翻訳/翻訳を利用する大学生/翻訳の限界/フランクリンの『自伝』に見る複数の翻訳/話題作の翻訳/誤訳の問題/驚くべき誤訳の連続/翻訳者の資格/何のための翻訳か?/『アメリカ西部文学』の試訳
 
3.不透明な日本語表現
日本語の乱れ/「ルビ」の問題/最近の研究論文の日本語/字画数の多い抽象的な漢字/最近の「批評用語」/アメリカの側から
 
III.文学研究の楽しみ
1.卒業論文の今昔
卒論指導・審査の思い出/最終的な選択は学生にまかせる/5つの学生の興味/実りの多い卒論指導/卒論は学生にも教師にも大切/悔いが残らぬよう、最善を尽くせ/卒論のテーマの変遷/不動の人気シェイクスピア/日本人好みの作家/時代の変化を反映/学生には同時代性が重要/1920年代の卒業論文/人気がなかった同時代小説/方法や表現スタイルの変化/不透明な現代の世界
 
2.謎解きとレポート
テキストを細かく検討する/深く「読む」方法と習慣を身につけ、文学作品を「楽しむ」/学生たちの反応/学生にどんなレポートを書かせるか?/『アメリカ人』についての意外な解釈/度肝を抜かれた学生たち/学生とともに考える
 
3.へスターの墓の隣には誰が眠っているのか
『緋文字』の物語/大学生にも小説は楽しい/『緋文字』はAマイナス?/墓にはいったい誰が眠っているのか?/学生たちの反応/「せめて」あの世では一緒に/チリングワスへの学生の同情/自分自身の解釈、意見をもつ
 
4.フランクリンと現代日本の若者たち
ヴァージニア大学の学生との対話/日本人の国民性/フランクリンとアメリカ文学/学生たちの偏見/「アイデンティティ」と「成功」/出来合いのレポート/自分で考え、自分で判断したレポート/フランクリンと福沢の違い/日本人的なものに反応/フランクリンに対する反発と支持/新しいフランクリン像、福沢像
 
5.研究者と踏み絵
国際化のなかの文学批評/『ハックルベリー・フィン』は禁書処分に/文学本来の存在意義とは?/自分の態度を鮮明にすること/日本人の第三者的な立場/学者たちの議論/新しい解釈を打ち出す積極性/迫力に欠ける日本人の研究/主体的文学研究のむずかしさ
 
IV.文学史と批評の学び方
1.文学史を考える
三代の文学史/アメリカ文学研究の歴史/新しいアメリカ文学史/現代の読者としてどういう態度で臨むか/権威ある文学史/権威への挑戦/作家・作品の解釈評価/アメリカ文学研究の始まり/記念碑的な文学史/虚心にそれぞれの章を読むべき/わが国英文科での文学史/大橋健三郎教授のアメリカ文学史/活字メディアとは無縁の大学生/学生の印象と現在の批評研究の「ずれ」/意表をつかれた学生たち/何が文学史の「基本的な事実」か?
 
2.文学史を見直す
行き過ぎの感のある新アンソロジー/今後の文学研究の目的と方法は?/正典見直しの実態とその意味/人種、階級、性差/正典の権威を否定/文学における割り当て制度/確立された文学史に対する挑戦と批判/見直しの見直しが必要/今後の動向/正典見直し議論は続く/「文学」と「政治」の関係/PC(political correctness)/若い研究者の「思い上がり」/ブルックス教授は時代遅れか?/「見直し」派と「見直しの見直し」派
 
V.学問研究に生涯を捧げる
1.学問研究の基礎――正確な事実の確認
広く使われている辞典にも誤りがある/原辞典の記述の誤り/辞典にみられる誤訳/生没年などの問題/英語の辞典からの間違った情報/誤りは意外なところから/研究書にも間違いがある/細部の詰めの甘さが命取りに/常に原典、原資料に当たる/辞典は絶対ではない/「誤り」は踏襲される/出版年の微妙な「ずれ」/生年がはっきりしない/最善の努力は払うべき
 
2.大学院への進学
大学院進学を考える学生諸君へ/研究に生涯を捧げる若者を求む/大学院はどんなところか/入学試験について/英文和訳/ペローの小説の解説から/必要な英文要約の力/和文英訳/論述問題/「正確さ」こそ基本の基本/短答式問題/どこまでも続く、厳しい研究者への道のり
 
あとがき

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