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書籍紹介

ラディカル構文文法 ――類型論的視点から見た統語理論
Radical Construction Grammar
――――Syntactic Theory in Typological Perspective

従来の文法研究を根源的に問い直す独創的な研究書
著者 ウィリアム・クロフト〔著〕 / 山梨正明〔監訳〕 / 渋谷良方〔訳〕
刊行日 2018年6月15日
ISBN 978-4-327-40169-6
Cコード 3080
NDCコード 801
体裁 A5判 上製 558頁
定価 定価8,424円(本体7,800円+税)

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内容紹介
 本書は、認知言語学と言語類型論を統合する認知言語類型論(Cognitive Typology)の新たな研究プログラムに基づき、これまでの文法研究を根源的に問い直す、画期的な研究書である。
 本書の枠組みであるラディカル構文文法のアプローチは、この認知言語類型論の視点から、多種多様な日常言語の文法パタンの綿密な類型化と一般化を通して、日常言語のメカニズムの固有性と普遍性の解明を試みている。本書は、音韻・形態、文法から意味、談話・テクストのレベルに至る包括的な言語のモデル化をめざし、厳密かつ明示的に定義された文法モデルに基づき、音韻・形態レベルから談話・テクストのレベルに関わる諸要因を考慮した言語現象の体系的な分析を提示している。
 本書は、認知言語学、言語類型論の研究者だけでなく、形式文法、言語教育、言語習得、テクスト・談話研究、等の言語学の関連分野の研究者にとっても必読の研究書である。

<著者紹介>
ウィリアム・クロフト(William Croft) ニューメキシコ大学教授。著書:“Explaining Language Change: An Evolutionary Approach”(Longman, 2000), “Verbs: Aspect and Causal Structure”(Oxford University Press, 2012), ほか。

山梨正明(やまなし まさあき) 京都大学名誉教授、関西外国語大学特任教授。著書:『認知文法論』(ひつじ書房、1995)、『認知構文論』(大修館書店、2009)、『認知意味論研究』(研究社、2012)、『自然論理と日常言語』(ひつじ書房、2016)、ほか。

渋谷良方(しぶや よしかた) 金沢大学准教授。論文:“Diachronic Change of English Attributive and Predicative Adjectives from 1710 to the 1990s”(『日本認知言語学会論文集』14号、2014)、ほか。
目次
第1部 統語カテゴリから意味地図へ

1章 統語論における論証とラディカル構文文法
 1.1. はじめに
 1.2. 統語論における方法論と理論
  1.2.1. 統語分析の基本的問題
  1.2.2. 分布に基づく分析:統語論における論証の基本的方法
 1.3. 構文と構文文法
  1.3.1. 構文文法を支持する議論
  1.3.2. 統語・意味構造:構文の構造
  1.3.3. 構文文法における構文の構成
 1.4. 分布に基づく分析と通言語的普遍性
  1.4.1. 通言語的に分布に基づく分析を用いることの問題
  1.4.2. 通言語的な方法論的御都合主義とその問題
  1.4.3. 別の見解:極小の基本要素の普遍的目録は存在しない
 1.5. 分布に基づく分析と個別言語の文法表示
  1.5.1. 個別言語で分布に基づく分析を用いることの問題
  1.5.2. 言語内部の方法論的御都合主義とその問題
  1.5.3. 別の見解:極小の文法的基本要素は存在しない
 1.6. ラディカル構文文法:よくある質問
  1.6.1. 極小の基本的ユニットの存在しない統語理論がどのようにして成り立つのか?
  1.6.2. これらの事実は,カテゴリの素性基盤アプローチや範疇文法アプローチに
     よって捉えることはできないのか?
  1.6.3. RCG はカテゴリの絶望的な増殖を引き起こすことにならないのか?
     全てのカテゴリにどうやってラベル付与するのか?
  1.6.4. カテゴリが構文との関係で規定されるのなら,構文はどうやって特定するのか?
  1.6.5. RCG では,構文間におけるカテゴリの一般化をどのようにして捉えるのか?
  1.6.6. 極小の基本カテゴリなしに,子どもはどうやって文法を習得できるのか?
  1.6.7. RCG は構文文法の他のアプローチとは,どのように関係するのか?
  1.6.8. 全てのカテゴリが構文固有のものであり,そして構文が言語固有のものである
     なら,どのようにしてRCG を文法記述に用いることが可能になるのか?
  1.6.9. もしカテゴリが構文固有のものであり,また,構文が個別言語固有のもので
     あるなら,普遍文法や言語の普遍性は存在しないということか?
 1.7. 結論と展望

2章 品 詞
 2.1. はじめに
 2.2. 主張される個別言語における品詞の欠如
  2.2.1. 品詞の「一括主義的」な類型論理論
  2.2.2. 「一括主義的」な品詞理論の批判
  2.2.3. 意味的変化とゼロ符号化
 2.3. 一括主義から分割主義へ
  2.3.1. 分布に基づく分析と品詞の分析
  2.3.2. 分割:どこで止めるのか?
  2.3.3. 分布に基づく分析と品詞に関するさらなる問題
 2.4. 概念空間,意味地図,品詞の普遍的理論
  2.4.1. 普遍性と言語個別性の区別
  2.4.2 品詞の普遍類型論理論
  2.4.3. 概念空間と意味地図
  2.4.4. 類型論的有標性と概念空間の地形
  2.4.5. 機能的プロトタイプと文法カテゴリ構造仮説
  2.4.6. 品詞の普遍類型論と認知文法の理論
 2.5. 文法知識の表示における言語の個別性と普遍性との統合

3章 統語カテゴリと意味の相対性
 3.1. 形式と意味の関係
 3.2. 意味の相対性を支持する議論における隠れた前提
  3.2.1. 対立
  3.2.2. 一対一の形式-意味の写像
  3.2.3. 表現における冗長性
  3.2.4. 意味の不確実性原理
 3.3. 言語の「相対性」が持つ動的で流動的な特徴
 3.4. 意味の普遍性と相対性とラディカル構文文法

4章 節の統語的役割(「文法関係」)
 4.1. はじめ
 4.2. 普遍的な統語的役割を持たない言語の普遍性
  4.2.1. 「対格」言語 vs.「能格」言語
  4.2.2. A/S/P の役割のカテゴリの階層
  4.2.3. 目的語役割を符号化する階層
  4.2.4. 結論
 4.3. 全体的な統語的役割を持たない言語の普遍性
  4.3.1. 全体的(かつ普遍的)な統語的役割に関する賛成と反対の議論
  4.3.2. 主語構文階層
  4.3.3. 主語構文階層の通時的実在性
  4.3.4. 主語構文階層の概念空間表示
 4.4. さらなる厄介な問題
  4.4.1. 自動詞分裂と主語のプロトタイプ
  4.4.2. 能格性と数量化
  4.4.3. 分裂能格性
 4.5. 結論


第2部 統語的関係から記号的関係へ

5章 依存関係と構成素性と線形順序
 5.1. はじめに
  5.1.1. 構文の内部構造
  5.1.2. 符号化された依存関係と連語的依存関係
 5.2. 意味的関係としての連語的依存関係
 5.3. 構成素性と線形順序
  5.3.1. 構成素性を支持する議論
  5.3.2. 構成素性から形式的グループ化へ
  5.3.3. 線形順序と形式的グループ化
 5.4. 顕在的に符号化された依存関係
  5.4.1. 顕在的に符号化された依存関係の類型論的分類
  5.4.2. 顕在的に符号化された依存関係と連続性と線形順序における不一致
 5.5. 結論

6章 統語的関係に対するラディカルなアプローチ
 6.1. 統語的関係の存在に反対する論理的な主張
 6.2. 統語的関係 vs. 記号的関係
  6.2.1. 疑わしい意味的依存関係
  6.2.2. 命題 vs. 主語-述語の解釈
  6.2.3. 節の崩壊
 6.3. 統語的関係 vs. 統語的役割
  6.3.1. 3 つまたはそれ以上の要素の相対的順序
  6.3.2. 二番目の位置
  6.3.3. 入れ子型の関係的な符号化された依存関係
  6.3.4. 統語的関係においてユニットが1つ不足していること
  6.3.5. 顕在的に符号化された依存関係の選択性または欠如
 6.4. 統語的関係なしで構文を理解すること
  6.4.1. 形態統語的装置による意味役割の特定
  6.4.2. 構文の特定
  6.4.3. 足場のメタファと統語論の半類像性

7章 主要部と項と付加詞
 7.1. はじめに
 7.2. 主要部性の基準
  7.2.1. 機能辞の基準
  7.2.2. ベースの基準
  7.2.3. 主要部の基準
 7.3. 主要部の分解
  7.3.1. 一致
  7.3.2. 下位範疇化,統率,構文文法
  7.3.3. 義務性と分布的等価性
  7.3.4. 統語カテゴリ決定子と形態統語的中心
 7.4. 「主要部」の意味的定義
  7.4.1. 主要部とプロファイル等価物
  7.4.3. 主要部とPIBU
 7.5. 文法化とPIBUのプロファイル等価物
  7.5.1. 助動詞と冠詞
  7.5.2. 数詞と数量詞と類別詞
  7.5.3. 接置詞
  7.5.4. 補文標識
  7.5.5. 連結詞
  7.5.6. 他の統語的プロセスにおけるPIBU
 7.6. 形態論における「主要部」と語根
 7.7. 項と付加詞の区別
  7.7.1. 項と付加詞の区別の基準
  7.7.2. 結合価と自律性-依存性の連続体
  7.7.3. 構文における記号的な事例化


第3部 普遍的構文から統語空間へ

8章 態の連続体
 8.1. はじめに
  8.1.1. 言語の普遍性に普遍的構文は必要か?
  8.1.2. 能動態と受動態と逆行態:文法的領域の区切り
 8.2. 導入部:能動態と受動態における有生性の制約
 8.3. 能動態と受動態の構造的多様性
  8.3.1. 幾つかのいわゆる受動態
  8.3.2. 幾つかのいわゆる逆行態
 8.4. 能動態-非能動態の区別の曖昧化
  8.4.1. 幾つかのいわゆる「受動態」と能格
  8.4.2. フィリピン語群の態体系
  8.4.3. 人称に基づく分裂能格の体系
 8.5. 態構文の類型論的普遍性分析
  8.5.1. 統語空間と構文の非普遍性
  8.5.2. 統語空間の普遍性

9章 等位接続-従位接続の連続体
 9.1. はじめに
  9.1.1. 複文の伝統的分類
  9.1.2. 複文タイプの連続体
 9.2. 等位接続と副詞的従位接続のゲシュタルト分析
  9.2.1. 「等位接続」と「副詞的従位接続」の意味的平行性
  9.2.2. 副詞節と図-地構文
  9.2.3. 等位接続と複合的図構文
  9.2.4. 慣習化された解釈:条件と比較級
  9.2.5. ランクを下げた節連鎖への複文の進化
 9.3. 精緻化サイトの精緻化と,補部と関係詞節の類型論
  9.3.1. 精緻化サイトの精緻化
  9.3.2. 図-地から関係詞節へ
  9.3.3. 目的節から不定詞補部へ
  9.3.4. 連続動詞から補部へ
 9.4. 複文の統語空間:ランク下げ階層
 9.5. 結論

10章 統語理論と言語理論

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