書籍検索

書籍紹介

思考と発話 ――明示的伝達の語用論
Thoughts and Utterances : The Pragmatics of Explicit Communication

発話から心を読み解く ――関連性理論の可能性をさぐる最新の認知語用論――
著者 ロビン・カーストン (Robyn Carston)〔著〕 / 内田聖二、西山佑司、武内道子、山﨑英一、松井智子〔訳〕
刊行日 2008年2月23日
ISBN 978-4-327-40148-1
Cコード 3082
NDCコード 801
体裁 A5判 並製 636頁
定価 定価8,800円(本体8,000円+税10%)

ネット書店からのご購入(近刊予約ページにつきましては発売月初旬頃までに表示されます)

*お取り扱いのないネット書店もございます

リアル書店在庫確認

内容紹介
Sperber and Wilson (1986/95)(『関連性理論−伝達と認知−』研究社)から出発した関連性理論は認知語用論として近隣学問分野に影響を与えながら発展してきたが、本書はその基盤を強固なものとし、さらにその応用可能性に言及する。
第1、2章で理論的側面にかかわる問題を詳細に検討したあと、以下、and 連言文(3章)、否定(4章)、メタファーなどにかかわるアドホック概念構築(5章)、と具体的な言語現象に切り込み、関連性理論の考え方の優位性を論証する。言語学のみならず、言語哲学、心理学、レトリック、コミュニケーション理論、などに携わる学生、研究者に必携の書。
 
<著者紹介>
ロビン・カーストン[Robyn Carston] ロンドン大学(University College London)教授
 
<訳者紹介>
内田聖二(うちだ せいじ) 奈良女子大学教授
西山佑司(にしやま ゆうじ) 慶應大学名誉教授、明海大学教授
武内道子(たけうち みちこ) 神奈川大学教授
山﨑英一(やまさき えいいち) 四天王寺大学教授
松井智子(まつい ともこ) 京都大学霊長類研究所准教授
目次
訳者まえがき
日本語版への序
謝辞
はじめに
 
第1章 語用論と言語的決定不十分性
1 言っていることと意味していること/2 決定不十分性のテーゼ(1 言語的決定不十分性は何に起因するのか 2 決定不十分性: 本質的なものか、それとも、単に簡便的なものか?)/3 恒久文と表現可能性(1 恒久文とプラトン主義 2 表現可能性の原理 3 恒久的な指示は存在するか 4 恒久的な述語づけは存在するか)/4 メタ表示、関連性、語用論的推論(1 心を読むことと意図明示 2 関連性と発話理解)/5 決定不十分性、真理条件、意味論・語用論の区別(1 自然言語の真理条件的意味論は妥当か 2 自然言語の翻訳的意味論は妥当か)/6 根源的な決定不十分性と‘背景’(1 ‘背景' 2 根源的な決定不十分性と「表出可能性」 3 根源的な決定不十分性と意味論的合成性)/7 思考は決定不十分だろうか(1 心的言語、語用論、合成的意味論 2 心的な指標辞、および、心と世界の結びつき)/8 まとめ/注
 
第2章 明示的側面と非明示的側面の区別
1 意味論・語用論の区別(1 真理条件的意味論と形式語用論/2 意味論と語用論の循環)/2 Grice: 言うことと推意すること(1 奇異な言明も真なり 2 「言われていること」への文脈の役割 3 推意: 慣習的なタイプと会話的なタイプ 4 言うこと、意味すること、そして「そう言っているかのようにみせること」)/3 Sperber and Wilson: 関連性理論による区別(1 表意 2 多重発話行為と多重論理形式 3 推意 4 表意と推意の導出 5 文断片的発話、言うこと、表意すること 6 表意と非字義性 7 Blakemore: 概念的区別と手続き的区別)/4 TravisとRecanati: 拡充された「言われていること」(1 文脈主義者にとっての言うこと 2 直観への利用可能性)/5 Bach: 言われていること・準推意・推意(1 準推意 対 表意/2 言われていることと言語的意味/3 言われていることと指標性/4 「言われていること」について何が言われるべきか)/6 語用論的意味は語用論的拡充かそれとも推意か(1 最小主義の原理 2 機能的独立性 3 埋め込みテスト)/7 あとがき: 隠れた指標辞か「自由」拡充か/8 結論: 生成意味論から積極的語用論へ/注
 
第3章 And 連言文の語用論
1 Andの真理条件性の維持/2 連言文の関連性に根ざした語用論(1 認知的スクリプトと呼び出し可能性 2 拡充か推意か)/3 意味論的代替説明/4 認知的基盤: 因果関係と説明/5 関連性と処理単位(1 連言の単位 2 精密化関係)/6 処理労力とアイコニシティ/7 残された問題(1 語用論的拡充か表示されない'背景'か 2 andの意味論とandの論理)/8 結論: 一般的会話の含意から命題拡充へ/注
 
第4章 否定の語用論
1 データと区別(1 スコープによる区別/2 表示による区別)/2 意味論的曖昧性分析(1 語彙的曖昧性かつスコープ的曖昧性か、あるいはそのどちらか一方か 2 曖昧性への反論)/3 強い語用論的分析(1 グライス派精神での分析 2 Grice: 構造的曖昧性と推意 3 意義の汎用性と推意 4 否定の語用論的絞り込み)/4 「前提」取り消し的否定とメタ言語的否定(1 意味論的前提と否定 2 メタ言語的否定 3 否定とエコー的使用 4 真理関数的否定とメタ表示的拡充)/5 「前提」否認の語用論(1 「前提」否認と矛盾 2 否定と二種類の語用論的拡充)/6 結論: 意味論的多重曖昧性から単義意味論と語用論的拡充へ/注
 
第5章 オンライン概念構築の語用論
1 コード化される概念と伝達される概念(1 絞り込みを経たアドホック概念 2 概念拡張化の問題)/2 絞り込みと拡張との対称的説明(1 統一的説明の帰結 2 統一説明の利点)/3 メタファー: 緩和的使用とアドホック概念(1 メタファー的な意味はどこからくるのか 2 アドホック概念と表意、決定不可能性)/4 語の意味と概念/5 結語: 言語的にコード化されている意味から明示的に伝達されている思考への長い道のり/注
 
補遺1 関連性理論用語集
補遺2 Griceの会話の原理
参考文献
日英対照表、英日対照表
人名索引、事項索引

▲ページトップに戻る